亀を屋外で飼育するために巨大アルミケージを自作してみた【亀池DIY】
ニホンイシガメやクサガメ、アカミミガメなどの半水棲亀を長期飼育する際は、それなりに大きな飼育スペースが必要になります。
亀は長生きですが成長スピードは早いので、お迎えした頃は60cmの水槽でも余裕があったのに、1年も経つとなんか狭そう・・・なんて体験をされている方はツバルの人口を超えるぐらい周りにいると思います。
今回は、そんなミズガメの飼育環境について、
子供が欲しがってお迎えしたカメを屋内で飼育していたけど、成長して体が大きくなってきたし、毎日の水換えも臭いもキツイからそろそろ飼育環境を屋外に引っ越しさせたいわぁ・・・
今庭のとろ舟で飼育している亀のために大きな亀池を作りたいけど、穴を掘ってモルタルやセメントで防水工事するのも大変だし、もし失敗したり不要になったら簡単に元に戻せないのは辛いなぁ・・・
といった方向けに、アルミフレームとトロ舟を組み合わせて、『庭に穴を掘らずに』『後から自由に広さを変更できて』『いつでも分解・移動ができる』特大の亀用屋外飼育ケージを自作した際の手順をまとめてみました。
今回はお庭に作ったけど、亀用の水槽が置けるスペースがあるなら戸建ての屋上やマンションのベランダとかにも設置できるよ。
引っ越しする時は分解して持っていける上に、簡単に元通りにできるので賃貸物件に住んでいる人で亀池を作りたい人におすすめだよ!
宣伝:本記事は動画でも見ることができます
自作するケージの概要
主な構成としてはアルミフレーム+とろ舟
今回製作した亀池のコンセプトは『飼育スタイルに合わせて変化するケージ』です。
陸上で活動する傾向の強いニホンイシガメを飼育するために作ったものですが、「将来的に水場を多くすることもあり得るなー」と考えた時に、池を掘って固めてしまうと簡単に拡張できないという問題がありました。
そこで、全体的にケージを地面から浮かせて、とろ舟を下から出し入れできるようにすることで、
後からでも陸場と水場の比率を自由に変更できるようにしてみました。
自作した亀池の主な特徴は以下の通りです。
- とろ舟で水場を作るので庭に穴を掘る労力が不要
- とろ舟を入れ替えることで陸場と水場を自由に変更できる
- ケージのフレームはアルミ製なので屋外で劣化しにくく、水洗いもできる
- ケージは組み立て式なので分解や移動が簡単。将来的に増設して拡張もできる。
- ケージが地面から浮いているので虫や野生の動物が穴を掘って侵入できない
- ケージ内に庭に溜まった雨水や泥水の跳ね返りが入らない
庭に池を作るとなると穴を掘ったりセメントを練ったりと大変ですが、今回のケージのように地面に置くだけなら手間がグンと減ります。
見た目はかなり人工的で自然の池っぽさはありませんが、アルミケージのゴツゴツした感じが好きな人にはささりそうです。
このケージは亀次郎ちゃんねる(YouTubeチャンネルページ)さんの亀池から発想したよ。
過去にイレクターパイプで作る排水が楽になる亀水槽をDIYした経験と組み合わせただけだから、探せば同じようなことしている人がいるかも。
亀池のスペック【図面の配布あり】
亀池の主な仕様は以下の通りです。
- 横幅:2,204mm
- 高さ:753 〜 823mm(可変)
- 奥行:881mm
- 材料:アルミフレーム+樹脂製とろ舟+亀甲金網+メッシュパネル
- 構成:陸場3つと水場1つの合計4エリア(水場の水量は60リットル)
- 前扉:引き違い扉 × 2面
- 価格:5〜6万円(通販3万円、店舗2〜3万円)
亀池と言われると少し小さいですが、2m超えの飼育ケージと考えるとなかなか迫力があります。
アルミフレームや陸場となるアルミ複合板の寸法については、当時設計した図面が残っていましたので、もし興味のある人は以下のリンクからどうぞ。
図面に関しては素人なので、寸法の引き出し方とかが微妙なのは許してね。
ちなみに設計はSUS社が無料で配布しているUnitDesignっていう3DCADソフトを使ったよ。
材料をかき集める
アルミフレームと複合板はG-Fun通販サイトを利用
亀池ケージのメインとなるアルミフレームはSUS社のG-Funシリーズ(公式リンク)を使います。
G-FunのアルミフレームはDCM系列のホームセンターでも取り扱いしていますが、今回は細かい寸法指示や特殊なフレームもあるので、自由にカットできて品揃えも豊富な公式通販を利用しました。
当ブログのG-Funを使ったアルミフレームDIYの始め方という記事に、公式通販サイトの活用方法が載っているのでそちらも是非参考にしてください。
- GF-0220 GFunフレームN(長さ:484mm)× 1本
- SGF-0220 GFunフレームN(長さ:750mm)× 6本
- SGF-0220 GFunフレームN(長さ:793mm)× 10本
- SGF-0220 GFunフレームN(長さ:1028mm)× 4本
- SGF-0230 GFunフレームNDIN(長さ:1028mm)× 4本
G-FunのフレームNシリーズは28mm径の汎用フレームで、省スペースなSシリーズ、剛性の高いGシリーズに比べて入手しやすくてパーツの種類が多いオールラウンダーです。
今回は長さの違う484〜1028mmの4種類のフレームを使用します。
フレームNDINはNシリーズの中でもドイツの工業規格(DIN規格)に対応したフレームで、対応するした何かしらのパーツが付けられるようです。
今回は前面スライド扉用のアルミレールを取り付けるためだけに使います。
ちょっと特殊なフレームNDINに対応するアルミレールについては後述するよ。
フレームNDINは特殊な製品なのかホームセンターで売っていない可能性が高いので、通販をうまく活用しようね。
- SGF-0007 GFunマルチコネクタインナ × 38個
- SGF-0030 GFunプレートコネクタ × 24個
- SGF-0123 GFunフットコネクタM12 × 6個
- SGF-0285 GFunアジャスタA M12-70 × 6個
- SGF-0341 アルミ複合板(板厚:3mm / 寸法:821×516mm)× 1枚
- SGF-0341 アルミ複合板(板厚:3mm / 寸法:516×420mm)× 1枚
- SGF-0339 GFunインナーキャップAL × 6個
マルチコネクタインナーはG-Funフレーム同士を90度で接続するために必要になります。
マルチコネクタインナーは1個あたり税込で300円と高く、数量が必要になるので買い間違えには注意が必要です。
プレートコネクタは天井の保護網や陸場となるアルミ複合板をフレームに固定するのに必要です。
フットコネクタとアジャスタはケージの足に取り付けて、高さを調整するのに使います。
今回はM12シリーズを使っていますが、M8シリーズもあるのでお好みで変更してもOKです。
アルミ複合板は人工芝と組み合わせて亀の陸場として使用します。
木の板やアクリル板など、別の材料でも代用可能ですが、屋外で利用する場合は日光や風雨に晒されても劣化しにくいものを選んでください。
フレームやアルミ複合板の寸法は使用するトロ舟の寸法によって適宜変更してね。
参考までに、後でも紹介するけど、このケージの寸法は幅85×高さ20.7×奥行51.1cmのトロ舟を4個並べることを基準にしているよ。
その他、とろ舟や保護ネットはホームセンターで全部揃える
アルミフレームやアルミ複合板以外の材料はホームセンターで集めました。
重要な3種類以外の材料は、店舗の種類や品揃えによって変更しても大して影響がないので、必要により代用品を検討してください。
- 光モール アルミチャンネル No.463 AC-10 1000mm × 8本
- アイリスオーヤマ メッシュパネル MPP-4560 × 4枚
- 昭光物産 プラ箱 60(85×20.7×51.1cm) × 3個
- ビニール亀甲金網 0.9m × 4m
- ガードネット25mm グリーン × 2.2m
- 透水人工芝 × 1.1m
- ELPA 結束バンド KBZ-N150100 × 1袋
- コンクリートブロック × 6個
- 目玉クリップ × 2個
重要な部品の1つ目のアルミチャンネルは、G-FunのNDINフレームの溝に2本並べて使います。
ホームセンターにより同じものが置いていない場合があるので、長さや高さは多少バラついても良いですが、幅は12.5mm未満のものを選ぶようにしてください。
重要な部品の2つ目のメッシュパネルは、アルミチャンネルにはめてスライド扉として利用します。
アイリスオーヤマ製なので大体のホームセンターには置いているかと思いますが、なければ幅が52cm以上で高さが45cm前後、厚みが10mm未満の製品であれば代用できます。
重要な部品の3つ目のとろ舟はアルミフレームの寸法の基準となります。
公開している設計図をそのまま作る場合は、できるだけ同じ寸法の製品を買ってください。
DCM系列のホームセンターであれば取り扱っていると思いますが、もし通える範囲の店舗で取り扱っていない場合、通販かアルミフレームのサイズ調整が必要です。
上で公開している図面通りに進めるなら、とろ舟は絶対に合わせる必要があるよ。
アルミチャンネルについては別のホームセンターで購入したけど、よく愛用しているDCM系列だと『光 アルミチャンネル AC10121 10X12』(DCMオンラインの商品ページ)が近い仕様だから代用できると思うよ。
亀池ケージを組み立てる
必要な工具
亀池を組み立てるのに必要な工具は以下の通りです。
- 六角レンチ M5(アルミフレーム用)
- コーキングガン(アルミチャンネルの接着用)
- 電動ドライバー+φ5mmのドリルビッド(とろ舟の水抜き加工用)
- カッターナイフ(人工芝のカット用)
- 大きめのニッパー(亀甲金網や結束バンドのカット用)
- スコップ(土に土台を埋める用)
結構手が汚れたりするので、必要により軍手やウエスなどを用意してください。
今回は板を切断したりやすりがけしたりする作業がないので、材料さえ揃っていれば1日で完成するよ!
このお手軽さがアルミフレームDIYの醍醐味だよね。
フレームの組み立ては六角レンチ1本でOK
G-FunのアルミフレームはM5の六角レンチ1本で簡単に組み立てできることが特徴です。
レールに沿って爪で挟むように固定するので、設計と実物で多少の寸法間違いがあっても適度に調整して誤魔化すことができます。
木材加工だとドリルで穴あけしてしまうので難しいですが、この辺りの融通が効く感じはアルミフレームDIYならではですね。
組み立てるときはまずネジを軽く固定する程度に締めて、全部組み上がったタイミングでネジをがっちり締めると位置ずれの調整がしやすくてオススメだよ。
前面のスライド扉はアルミレールとメッシュパネルを活用
六角レンチ1本で組み立てできるアルミケージですが、前面のスライド扉はひと工夫が必要です。
アルミフレームNDINは25mmの溝があるので、その溝にアルミチャンネルを2本並べ、溝と接触する面をコーキング剤で接着します。
屋外で使用できるものであれば両面テープでも構いませんが、上下4本のレールを2組接着することになるので、コーキング剤の方が値段が安くできると思います。
設計図だとフレームが1028mm、材料リストのアルミチャンネルが1000mmだからちょっと足りないけど、機能的には影響ないよ。
陸場のアルミ複合板はカット済みのものを穴あけ
陸場の一部はアルミ複合板を使います。
G-Funのフレームに板を取り付ける方法はいくつかありますが、今回は純正の『プレートコネクタ』という部品を使いました。
これはフレームの側面に後付けで板を取り付けできる部品で、コネクタの上に穴を空けた板を乗せて、M5のネジで固定すると、上から体重をかけてもびくともしない丈夫な陸場が出来上がります。
といっても、アルミ複合板のままだとツルツルして歩きにくいので、上に人工芝も敷いておきました。
裏面は先ほど使ったコーキング剤で接着しています。
私は裏側でカビたりするのが嫌だったから通気性の良い透水性の人工芝を購入したけど、気にしない人は普通の人工芝でもOKだよ。なんなら接着した上からドリルで穴を空けても良いかも。
水場は過去に作った亀飼育ケージから拝借
陸場を全てアルミ複合板で作ってしまっても良かったのですが、今回は土を踏む感触を楽しむための陸場と、雨の日に避難するためのシェルターとなる陸場も用意しました。
どちらもとろ舟の底に水抜き用の穴をあけて、土やら落ち葉やらを投入するだけで作れます。
水場に関してはイレクターパイプで作る排水が楽になる亀水槽で作ったオーバーフロー用の排水ソケットと水抜き用の風呂栓が付いたとろ舟を流用しました。
水が汚れたら栓を抜くだけで排水でき、水替えが劇的に楽になりますので是非作ってみてください。
水替えの頻度が多くなって大変なので、最近は水場に太陽光パネルで動く濾過装置も取り付けたよ。
保護ネットは丈夫な金属網を2重にする
アルミフレームを組み立てただけだと側面がガラ空きなので、生体にすぐに脱走されてしまいます。
アルミフレームを縦に並べれば檻のようにすることもできるのですが、あまりにもお金がかかりすぎる上に日光も遮ってしまうため、保護ネットを張ることにしました。
側面はイタチや猫に突破されないように亀甲金網を2重にして張り巡らせています。
天井に関しては普通のガードネットにしました。
緩めに固定して足場を悪くしているので、鳥が上に乗ってフンを落としたりするのを防いでいます。
間や大きな犬は防げないけど、猫やイタチ程度ならまず侵入できないと思うよ。
でも天井部分は少し不安もあるから、そのうち亀甲金網で統一するかも・・・
足場が不安定ならコンクリブロックを埋めて基礎を作る
冒頭では「置くだけで亀池を設置できる!」とドヤ顔していましたが、土でぼこぼこしているとフレームが浮いてとろ舟の隙間から脱走されてしまう可能性があります。
モルタルで基礎を作ってしまうと手軽さの面で本来のコンセプトから外れるので、コンクリートブロックを浅く埋めるだけにしました。
アルミフレームの足用に6点と、土や水を入れて重くなったとろ舟を支えるための土台を埋めています。
ベランダや駐車場など、元々コンクリートの上に設置される場合は不要です。
とろ舟を置く場合はある程度水平にしておくと収まりが良いけど、フレームの土台の部分は水平になっていなくてもOK!
アルミフレームの足の部分は伸縮するアジャスターを使っているから、適当に伸ばしたり縮めたりして水平になるように調整できるよ
まとめ:見た目はゴツいけど実用性は十分!でも長期飼育はこれから確認
といった感じで、今回はニホンイシガメの飼育ケースとして、アルミフレームととろ舟を使った特大の飼育水槽を作ってみました。
- 外に亀池を作ろうと思うと土を掘ったり結構面倒臭い
- とろ舟同士を繋げて周りをアルミフレームで囲うことで簡単に大きなケージを作れる
- とろ舟は自由に差し替えて陸場と水場を変更できるので、季節の移り変わりや生体の好みに合わせて飼育環境を変化できる
- 生体が増えてもケージを継ぎ足せば拡張できる
- 組み立て式なので引っ越す時とかにいつでも分解して移動できる
亀池ケージが完成した後、ニホンイシガメを慣らすために何度かお泊まりさせてみたところ、一晩経っても特に脱走することもなく、陸場や水場を自由に移動してくれました。
この記事を書いている段階では本格的な引っ越しはまだですが、実用する上ではかなり上手くできたかなと思います。
春から秋にかけてはとろ舟の一部をシェルター仕様にしていますが、冬場は冬眠用の水場にする予定なので、またその頃には良い感じに改造された亀池の様子をお届けしますね。
ちなみにこの亀池ケージは同時期に開催されていたG-Fun DIYコンテスト(エントリー作品リンク)に応募して、結果3位だったよ。
副賞のポイントを使って濾過装置も作ってみたので、その後の亀池の様子が気になる人は是非YouTubeチャンネルやTwitterもチェックしてみてね!