ツノガエルの自家中毒を予防する方法
ツノガエルをウールマットでお世話していると日々の水換えが必要になります。
普段お家にずっといるご家庭ならなんとかなりますが、外出などでどうしても水換えの間隔が空いてしまうこともあります。
今回は、ツノガエルの自家中毒のリスクを抑制できるオススメの対策方法を紹介します。
自家中毒のおさらい
自家中毒とは自身の排泄物に含まれる毒(アンモニア)を体内に蓄積し、内部が損傷を引き起こすことを言うそうです(人間の自家中毒症とは異なった意味で使われています)。
ツノガエルは総排泄腔(総排泄口)やお腹の皮膚から水分を吸収する性質のため、
自分で排泄して汚れた水を体内に再吸収してしまいます。
排泄物に含まれていたアンモニアの影響で炎症などを起こしやすくなり、最悪、内臓の損傷具合によっては突然死します。(外からパッと見て気づきにくかったりするので厄介)
発症しやすいパターンとして極端な例を挙げるなら以下の通り。
- 体二つ分もない狭い空間に浅く水張りしただけの飼育環境
- 水温または室温が高い(生体の代謝が上がっている)
- 出張で家を空けるなどして数日〜10日以上メンテナンスできない
こういった条件が揃うと、「家に帰ってきたら死んでいた」とかは十分にあり得ると思いmす。
自家中毒の基本的な予防方法
【予防方法1】頻繁に掃除する
最も基本的かつ効果の高い方法はメンテナンスの頻度を増やすことです。
毎日水替えすれば、ツノガエルが排泄しても最大1日程度で綺麗になるので自家中毒になるリスクをかなり下げる事ができます。
その代わり、メンテナンスに際して飼育者の負担は大きいですし、メンテナンスで移動するたびに生体にも多少の負担がかかります。
ウールマット飼育や水張り飼育だと1日〜2日おきに水換えになるので、必然的にこの予防方法を実践することになります。
【予防方法2】浄化性能の高い床材を使う
ケージ内にソイルなどの床材を敷くことで自然に近い環境で飼育でき、かつ頻繁にメンテナンスしなくても比較的衛生環境を保ちやすくできます。
ツノガエルの床材候補としてメジャーなのはフロッグソイルです。
ソイルが排泄物に含まれるアンモニアをある程度吸着してくれるので、単純な水張り飼育やウールマット、水苔を使うよりメンテナンスの周期を遅らせる事ができます。
ただし、そういった床材の吸着性能も無限ではないため、敷いている床材の厚みによっては1ヶ月〜数ヶ月サイクルで洗浄または交換が必要になります。
更に浄化性能を上げる方法としては苔や植物などを入れてテラリウムにしてみたり、濾過装置を導入して水を回すなどがあります。
基本的に手を加えれば加えるほど1回のメンテナンスにかかる負荷は高くなる傾向にあります。
【予防方法3】広い空間で飼育する
再吸収する毒を薄めるため、ケージを極限まで大きくすることも効果的な予防方法の一つです。
広いケージにツノガエル1匹だけ水張りで育てると言うよりは、どちらかというとテラリウムにして、【予防方法2】の浄化性能の高い環境と兼ねることが多いと思います。
広ければ広いほどツノガエルが避難する場所が増え、次の排泄までの間に植物がどんどん浄化してくれるので、うまく立ち上げれば実質メンテナンスフリーの環境ができるかもしれません。
当然ながら立ち上げにはそれなりにコストが発生しますし、そもそも飼育スペースを占有するので、ヤドクガエルやイエアメガエルのような複数飼育の方が向いていると思います。
綺麗なテラリウム環境を作っても大体ツノガエルに床材をほじくり返されて崩壊しがちなので、維持は諦めた方が心が軽くなると思うよ(経験談)
個人的にオススメする対策
そんなこと言ったってメンテナンスの回数も負担もできるだけ減らしたいし、飼育するスペースも限られているから難しいよ!
そんな方向けにリスクを抑制できるかもしれないオススメの方法があります。
前項で書いた3つの対策方法以外に飼育スペースの中で水場を複数に区切ることをオススメします。
ツノガエルはあのボーッとした見た目によらず賢いため、自分の座っている場所が不衛生な場合は大体綺麗な場所へ移動してくれます。
あらかじめ飼育スペース内に綺麗な場所を2つ以上分けて用意することで、片方が汚れても、もう片方が綺麗なまま維持されており、生体が移動さえしてくれれば自家中毒リスクを下げることができます。
水場を分ける方法の例
プラケやレプタイルボックスでツノガエルを飼育している方で最も簡単な区切り方は、ツノガエルが収まる広さの水入れを導入することです。
床材の上にポンと置いておくだけでいいので、床材の水分と簡単に分離できる上に、水替えの時は退ければいいだけなので掃除の手間もほとんど増えません。
ちなみに我が家のクランウェルツノガエルの飼育環境では、ウールマットの上に自作した水入れ兼用のシェルターを置いて水場を2つに分離しています。
おしっこやうんちをするとすぐにシェルターの方に避難してくれるので、水替えのサインになりますし、水換えの時は生体ごとシェルターを退けて作業できるので、ほとんど生体にストレスを与えることなくメンテナンスができます。
水入れは色々なサイズのものが売っているので、わざわざ自作する必要はありません(私のはただの趣味です)。
サイズはツノガエルがすっぽり入ればいいので、おおよそ15〜20cm程度のものを探すといいでしょう。
深さは1cm以上あれば十分ですが、水入れの中にウールマットを敷いたりする場合は、マットの厚さも考慮して少し深めのものを選んでください。
購入する前に飼育しているケージのサイズを確認するのを忘れずに。
まとめ:あくまで保険。でもないよりはあった方が安心。
といった感じで、今回はツノガエルの自家中毒の予防法について解説してみました。
記事の要点は以下の3点です。
- 自家中毒は生体の排泄物で汚れた水を吸収することで発症する
- 予防方法としては汚れた水を入れ替えるか、有害物資の濃度を薄める(or浄化する)のが基本
- 水場を区切ることで、生体は汚れた水から綺麗な水へ移動するので保険的な予防になる
今回、自家中毒を抑制する案として水場を用意するとしましたが、あくまで浄化サイクルが間に合わなかった時の避難所的な役割です。
水場を区切ったからといって100%生体が移動してくれる保証はないですし、紹介した水入れを避難所にする方法では、水入れの中まで汚れた場合、かなり濃い毒素に晒されるリスクがあります。
「予防したから大丈夫!」と油断せず、定期的に生体の様子を確認して病気なく健康に過ごせるように責任を持って飼育していきましょう。