猫と爬虫類は同居できるのか?猫とレオパの飼育事例を紹介
本来は捕食者と被捕食者の関係である猫と爬虫類ですが、生き物が好きな方がどちらも飼育したいと考えたり、もうすでに飼育している方の中には「猫と爬虫類が仲良くしている様子をInstagramに挙げていいねが欲しい」と考える方がいるかもしれません。
今回は、猫もレオパも飼育している私の実例を交えて、同居が可能か不可能かの私的な見解と、どうしても同居することになった場合に懸念されるリスクと事故を防ぐための対策方法をご紹介します。
この記事は以下に該当する方向けに書いています。
- 元々猫を飼育していて、爬虫類飼育にも興味がある方
- 元々爬虫類を飼育しているが、猫のお迎えも考え始めた方
- 猫も爬虫類も飼育しているが、何か事故が起きないか不安な方
- 猫と爬虫類が仲良くしている写真を見てモヤっとしている方
基本的には分けて飼育した方が良い
まず結論から言いますと、猫と爬虫類を飼育する場合は別の部屋に分けて飼育する方が無難です。
猫は理性のある人間ではなく動物です。
いかに聞き分けの良い賢い猫でも、お腹が空いている時に目の前にキャットフードを差し出されたら食べるように、目の前に自然界では本来餌になり得る小型の爬虫類が美味しそうに歩いていたら食べないとは限りません。
また仮に猫が食べものと認識しない場合でも、気まぐれに動くものにじゃれつくことがあります。
猫としては遊んでいるだけかもしれませんが、体格差がある中で甘噛みや腕で弾いたりする行為はやられている側からすればただの理不尽な暴力です。
レオパぐらいの小さな爬虫類だと、甘噛みは噛みどころが悪いと致死レベルでしょう。
ましてやわざわざ猫より小さな生き物を猫の目の前に持っていったり、猫の頭に乗せたり、一緒に寝かせたりといった行為をする場合、事故が起きても仕方ないという前提で行うべきかと思います。(爬虫類に限らず、ハムスターやインコなどの小動物も同じです)
他人の飼育している生き物なので、外野からとやかく言うような立場ではありませんが、個人的な考えでは「リスクに対するリターンが見合っていない行為」ということだけ記載しておきます。
私も過去に猫の目の前にレオパを近づけて、襲う素振りを見せるか確認したことがあるけど、後から考えてもかなりリスキーな行為だったと思うよ。
ちなみに猫はかなりの興味を示していたから、仮に同じ部屋で放し飼いにでもした日にはおもちゃにされてたかもね。
同じ部屋で飼育する場合は爬虫類の放し飼いはリスキー
同じ部屋で飼育していたときに私が気を付けていたことは以下の3点です。
- 爬虫類ケージは容易に開かない構造となっていること
- 爬虫類ケージは猫が立ち上がった時の目線より高い位置に設置すること
- 猫が同じ部屋に自由に移動できる状態でお世話を行わないこと
1つ目は飼い主が不在にしている間の基本対策です。
猫は器用なので、ドアに隙間があれば手を突っ込んで開けることができますし、スライド式の蓋程度なら突っ掛かりさえあれば手で引っ張って開けることもできます。
ケージの種類ごとの注意点は以下の通り。
- 前面ガラス引き違い式のケージ
パンテオンやケースバイケースなどに代表されるケージは窓が引き違いになっていますが、ガラスとフレームの隙間に爪が引っ掛かれば猫でも開けることができます。
基本的にはガラス扉用の鍵をつけることで対策可能です。 - 上蓋スライド式のケージ
レプタイルボックスなどのマグネットで固定するタイプの上蓋ケージでも、蓋のとっかかりが引っ掛かれば開いてしまう可能性が考えられます(なかなかレアケースですが)。
ケージだけでの対策は不可能なので、棚の最上段以外に設置するなど、猫の背が届かず、かつケージ上部に障害物がある状態にすることでよっぽど大丈夫だと思います。棚の最上段は猫が飛び乗る可能性が捨てきれないので避けたほうが良いでしょう。 - 蓋が乗っているタイプの水槽
ガラスが乗っているだけの水槽や、ガラスの縁に沿って網蓋が乗っているだけの水槽は衝撃を与えるだけで蓋を落とされる可能性があります。
蓋の上に重量物を乗せるか、手の届かない位置に設置した方が良いでしょう。蓋を閉めたときに水槽にロックがかかっている蓋であれば問題は起きにくいです。 - 重量が軽すぎるケージ
昆虫ケースや小さいケージなど、軽くて容易に動くケージは猫が飛び乗った時や手を出した時に倒れたり落ちたりする可能性があります。一般的な方法では対策のしようが無いので、重くて丈夫な別の箱に入れるか、猫のいない別の部屋に設置することをお勧めします。
なお、ジェックスのグラステラリウムのような鍵付きの観音開きケージや、私の愛用しているレプタイルボックス激似のアクリルケージは開閉するのに2回のアクションが必要になるので、猫が開けることはほぼ不可能です。
2つ目の目線については、お世話をしている人間と目が合うだけで多少のストレスを感じている可能性もある中、捕食者が目の前をチラチラ素通りしている状態が必ずしも良い状態とは言い切れないと思います。
生体にもよりますが、ケージ越しであっても面会機会は短時間の方が良いでしょう。
3つ目は言わずもがなですね。メンテナンスなどでケージを開けっぱなしにする機会があるなら猫は別の部屋に移動して、入ってこないようにしておいた方が余計なリスクを減らせます。
運動不足解消のために部屋の中で爬虫類を散歩をさせる方もいますが、その場合は爬虫類と猫から目を離さないようするか、最低限、ペットサークルなどで分離してから散歩させるようにしましょう。
別の部屋で飼育する場合もケージの設置場所に注意
記事を書いている時点での私の飼育環境として、猫のケージのある部屋とは別に爬虫類部屋を作って爬虫類たちを飼育していますが、それでも気をつけている点は2点あります。
- 部屋のドアの鍵がかからない場合、猫と同じ部屋で飼育するぐらい警戒すること
- 一時的に同じ部屋に入れる場合は可能な限り猫を視界に収めておくこと
外開きのドアだとなかなか開けることは難しいのですが、爬虫類を飼育している部屋から見て内側にドアが開く場合、ドアがちゃんと閉まっていないと外から体重をかけられて侵入されてしまいます。
賢い猫だとドアノブを引いて自分でドアを開けれてしまうので、部屋の外から鍵を掛けられない場合はドアを開けられる前提で対策した方が良いでしょう。
また、飼い主が部屋に入ると外から全力で鳴いて呼ばれるので、ついつい中に入れてしまいがちです。
同居レベルの対策を行うか、無理なら視界に入れてイタズラしないかチラチラ監視しておいたほうが無難でしょう。ゴキブリケージを倒された日には地獄絵図が待っています・・・
おわりに:仲良く見えるのは人間のエゴ?
といった感じで、今回は猫と爬虫類を同じ家の中で飼育する時の注意点などをご紹介しました。
私は猫を飼育しているので同じく猫を飼っている人の気持ちは多少わかるのですが、「うちの猫は賢いから大丈夫」と根拠のない信頼感のようなものでついつい甘やかしたり、油断したりしがちになります。
繰り返しになりますが、猫と爬虫類は基本的に捕食者と被捕食者の立ち位置です。
事実として、テレビでインコと猫が仲良くしていたり、ネットでも猫の上にフトアゴ仲良く写っていたりする写真が出回っているので、共存できないというつもりはありません。
ただ一方で、こちらも事実として野生の猫が貴重な爬虫類や鳥類を襲って問題になっているといった研究結果も公表されています(以下ニュースサイト参照)。
また、一緒に並べて仲良くしているように見えても、仲良く見えるのはあくまで人間の立場で観察した結果であり、実態は人間である私たちにはわかりません。
「仲良くできる可能性がある」よりも「事故が起こる可能性がある」を念頭において、万が一の事故が起きて後悔する前に、猫と爬虫類がお互いにのびのびと過ごせる環境を構築するにはどうすれば良いかを検討してみてもいいかもしれませんね。